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海老根君

今日は、まだラジオで、松任谷由実の ”春よ来い” のメロディが何度も
耳を通り抜けていた頃の話です。

 
ある休日、蒸しタオルの洗濯中、店の電話に元床屋の海老根君(仮名)から
興奮した声で、『おい、貴ちゃん貴ちゃん、今日という今日はガセじゃねえぞ!
俺の人生最大の発表だ! 大宮の決勝、平原の頭で硬いのなんのって、
大木金太郎やボボ・ブラジルなんてもんじゃねえぞ!これがこなけりゃ
競輪場で暴動起きるぞ! うん、間違いねぇ、な、だから一緒に行こうよ!』 

年に2〜3回の恒例電話です。 
海老根君は専門学校の同級生で、20年前、景気絶頂の頃に
スパッと床屋を辞め、以来、毎日昼間から酒を飲んでは
近所をフラフラしている町の有名人で、そのわりにはアメ車を転がし、
国民年金もしっかり払っているという、コイツは一体何で生計を
立てているのか親友の私でさえ、さっぱりわからない
愛すべきダメ人間なのです。



その海老根くんとは前回、2人で平塚まで行き、ズタズタに負け
大酔っ払いで東海道線に乗ったはいいが、お互い田舎者の悲しさか、
湘南新宿ラインを理解できず、赤羽で這い出るように下車し、
やめりゃあいいのに、お金下ろして、怪しい店でまた飲み、
めちゃめちゃ騒いで、オデコに ”肉” と書かれてるのも知らずに
威風堂々と常磐線グリーン車で帰ってきた、
もう、1ミリたりとも思い出したくない恥ずかしい過去があるのです。


とはいえ松戸出身の私、若かりし紅顔の少年時代より
”金網あんちゃん”の異名を頂くほど熱く競輪を愛す男ゆえ
その電話の2時間後には、もう大宮の駅前で新聞見ながら鉛筆ペロペロ
舐めていました。 頭のなかでは、
     ”あ〜あ寿司屋で時価のもんばっか食ってみたいな”

             こんなもんですよ、、、、。




大宮駅前、  なんか柏に似ています。
ここから野田線に乗り換えです。
CIMG1569.JPG



競輪場の中にあるこういうB級グルメを食するのも楽しみのひとつです。
びっくりするほど旨いものもあるんです。 フライヤーから取り出した
揚げたてのアジフライなんかは、もう、何回下唇を火傷したことか、、
CIMG1563.JPG




賭け事をする前には、やはり縁起をかついでカツ丼(勝つ丼)でしょう。
けれど、あまりご利益は無いような気がします。
CIMG1559.JPG




5〜6年前位から、お酒も売るようになりました
昔からすると考えられない事です。
それ以前は、ガラの悪いお客さんが多かったのも事実です。
それこそ昭和の時代は腹を突き出し、両肩を前後に動かしながら
歩く ”オラオラおやじ” や、しかめっ面で、
『カァ〜〜〜〜〜〜〜ッ、 ペッ!』
と、唾を吐く ”ジャンバーじいさん”
うんこ座りでタバコを吸いまくり周りを威嚇する
 ”ニッカボッカ軍団” 色々いました。

しかし、皆、齢を重ね、オラオラおやじは、ヨロヨロじいちゃんになり、
ニッカボッカ軍団はシルバー年金軍団となり、
ジャンバーじいさんは唾を吐くより、痰の吸引でもしているのでしょうか?

昔に比べ、最近のファンは驚くほどマナーもエチケットも向上しています。
CIMG1561.JPG




ここ数年、競輪事業の衰退は目を覆うほどのもので
主催者側の努力もむなしく、お客さんの高齢化が進み、売り上げが落ち、
施設の改装もままならないのが現状だそうです。
これではファンの世代交代は、とうてい望めなく、
いずれ無くなってしまうのは明らかです。

冷静に考えてみますと、そもそも賭け事とは、あらかじめ胴元が
テラ銭を確保し、残ったお金をブン取り合うもので、参加した時点で、
もう元本割れしているのです。
競馬、競輪などの公営ギャンブルはテラ銭は25%
それに対しパチンコ、パチスロは機械割りという仕組みがあり、
およそ投入金額の8割りを目安に戻すようで、と、なるとテラ銭は20%
(本来、競輪もパチンコも、もし利益がでたなら、純利益の20%は
分離課税として納めなければいけません。)
その点、株式投資はテラ銭は無く、
(手数料はありますが対面以外、今は驚くほど安いです)
しかも年間ででた利益合計の10%納めればいいのです。
しかも損失がでれば3年間持ち越せ、利益と相殺できます。

どう考えても競輪は不利なのです。 
今の世の若者はそれをよく知っています。
ましてや幼少の頃が例の底辺おやじ達の全盛期ときていれば子供の
眼に映った記憶が競輪への嫌悪感という壁になり、
よりいっそう興味の無い娯楽に分類されるでしょう。
酷な事ですが、私の予想では10年後競輪は消滅しているとおもいます。

(とはいえ偉そうな事言ってるわりには、株にしろ、商売にしろ、私のたてた
予想がはずれまくって、こんな貧乏になってしまった訳なんですが、、、、、。)、

CIMG1560.JPG




この日は記念競輪といい、年に1度の大きな開催なのです。
縁日みたいな雰囲気もあり、なんかワクワクします。
CIMG1562.JPG



すると、なにやら ”脚力測定” なるブースを発見、200Mを15秒以内で
こぐと1000円のクオカードをくれるそうです。それも何度でもOK,
その看板を見た途端、こみ上げる大歓喜!!
   『ぐわっっはっはっはぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、!』
乗鞍や渋峠を頂上まで駆け抜けた(注、やっとこ)この大腿筋が実益を得る
場面がきたのです。それも何回でも(車券購入が条件、100円でもOK,)
    ”毎レース1000円づつだったら12レースで12000円じゃんよ!”
無風状態の平地なら50キロは出せる自信はあります。
まだ漕いでもいないのに喜びで顔と太腿の筋肉が緩んできました。
今までの1位は11秒台みたいです。  はは、楽勝、楽勝、


『風圧もないし、助走もOKだっていうし、
100Mを10秒で走れば36キロだから5割増しの54キロで15秒かぁ、、、』

モノがかかると瞬時に計算してしまうのはセコイ性格の表れでしょう。
  
『おぅ、お兄ちゃん、俺、挑戦させてもらうよ!』
もう完璧頂いたと思っています。 よって、声も弾みます。

『あっ、どうもありがとうございます。』

『いやいや、お礼を言うのはこっちだよ、負け車券の損失補てん
してくれんだかんなあ。』

『はい!張り切って挑戦してください!』

すると、耳元で海老根君が小声でささやいています

『なぁ、俺にも1枚わけてな、、、』



”スタート!”
係員の声と同時に硬直した両脚から煙が出るほどペダルをフル回転!
それこそ、臨界に達したエネルギーを爆発させたような気合でした。

『貴ちゃん、すげ〜、こりゃすげえよぉ〜〜、 59、 60、 はんぱねぇ!
61キロ出てるよ〜〜!』

海老根君のまるで、周囲にアピールしているかのような興奮した声が
響きます。

テントを取り囲んだ見物人から感嘆のざわめきも聞こえていました。

反射的に、もっとスゴイとこ見せようと、

”むおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜〜〜っ、!”

こめかみの血管が切れるくらいの勢いでした。


CIMG1556.JPG




しかし、もはやここまで、、、、。

『ありゃああぁぁ〜〜っ、 貴ちゃん、50キロだぞ、42キロ、 33キロ、
おい、目が白いぞ、 だめだこりゃ、、、、、、』

”そんなことまで実況中継すんなよ、” 

声にならない声を出した頃に終了、
ゼ〜ゼ〜胸で息を整え、振り返り、後ろのボードを見てみると  ”15秒33”

なんだよ、なんだよ、こんなもんかよぉ、、、  46歳にしては、ま、いいほうか、

と思い、順位確認すると8位でした。トップタイムの掲示されている11秒12
の記録は、どうも飯田さんという方でした。が、しかし、その後の敬称を
よく見てみると (選手) とある、
   
      『ど、どこの飯田だぁ!威文かぁ、秀一かぁ!!』

”くぁ〜〜っ、 期待持たせて、”ちくしょおおおぉぉぉぉぉ〜〜〜〜っ”

こんな記念品でフニャフニャになるまで疲れさせて、、、、、、。

    ”おい飯田、これからは素人イジメないでね。”

             素直な感想です。

、”CIMG1557.JPG







そんなことよりも車券を買わなくては、
7レース終了時点で8000円位浮いて(儲かって)いました。

こういうふうに選手ごとの組み合わせの倍率を ”オッズ” といいます。

いつも迷うと2−4(富士)を買うのが定番です。
CIMG1566.JPG





私は小心者なので勝った時よりも負けた時のほうがいつも頭に浮かぶので
購入金額は負けるの前提で、1レースにつき300〜600円位です

それには苦い過去かあり、お給料が月7万円の見習いの頃に、
貰ったばかりのお給料握り締め、松戸で1レースに単勝
(当時はまだ単勝車券があったのです) 1点で5万円買ったんです。
けれど、怖くてそのレースが見れず、レース中、トイレの個室で
ガタガタ震えていました。

レースが終わり、そ〜〜〜〜っと、バンクを覗くと、 な、なんと、
単勝5万円突っ込んだ選手が落車し、担架で運ばれている最中だったのです!

そのショックたるもの海よりも深く、空よりも広く、それはそれは、
速攻、ガス管くわえて深呼吸してやろうか、とも思えるほどのものでした。

それ以来は負ける事を前提にするようになったんです。
それが競輪と永く付き合えてきた秘訣かもしれません。

(ちなみに落車したその福島の選手は京王閣に出場した際、
金網にへばり付いた私に火を噴くような野次を飛ばされた
記憶かあるはずです。 そして、野次に対するイヤガラセでしょうか、
そのレース、彼は1着だったのです。
      その時私は泣いた思い出があります。)
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たいへん珍しいこともあります。この日は
海老根君お勧めの平原選手が出てくる前に、なんとお互い
3万円以上も儲かってしまっていたのです。

そこで私が切り出します。

『なあ、海老根よぉ、このまま最終まで打って、オケラんなってキオスクの
缶ビールとチクワになるくらいだったら、もうお帰りしねぇか?
寿司でも食おうぜ!』 

3万も浮いたんならお帰りがベストの選択だと思うのですが、、

すると、

『でもなあ、これが30万なるかもしれねえんだぞ、したらさあ、俺、
夢があんだよ、つまんね夢だけどさ、』


『なんだよ、そのつまんね夢って、言ってみ、』

『笑う?』

『笑わないよ』

いいとこ、銀座のクラブか、京都の祇園で飲みたいくらいかと思ってたら、

『あのさぁ、俺、1回でいいからよ、大宮から上野まで新幹線
乗ってみたいんだよ、あんだけの距離を新幹線なんてさぁ、
すげー贅沢だと思わね?』

ぶわっはっはっははあああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!

46歳妻子持ち(子供受験生)の夢にしてみれば、あまりにも可愛い過ぎて
肺の中の空気をすべて吐き出すほど笑い転げました。
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笑ったことを平に謝り、平原選手が1着を取らないことを祈りつつ
競輪場を後にしました。
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『酒飲む前にゆっくり風呂入ろうよ』 なんて、いうので勝ったんだから
当然サウナかと思ったのですが、タオルを買って銭湯というところが
2人の貧乏性を物語っています。

黄色のケロリン桶は、まだまだ大活躍しています。
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髪も乾かさず海老根君御用達のお店に直行、
白いアブクの唾が出てくるほどの乾いた喉に生ビールを流し込みます。
          至福の瞬間!  

頭の中身がスカスカな私は、ビールと一緒に不安やストレスも
腹の中に納められる幸せな機能を携えており、
飲んでる時は極上に、ご機嫌なのです。
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20代の頃からの付き合いだと話題も昔は仕事、結婚、子供等でしたが、
それが離婚や血圧、尿酸値の話になり、30代後半には生命保険、
お墓の話へと移り、今や話の中心は、親の介護と相続及び海老根家の
教育費となりました。
こんなにも人生の移ろいを、ともに共有できる海老根君は私にとって、
貴重な有形財産です。
そして、きっと彼にとっても、シュールでエキセントリックな生き方に
憧れを抱くほど肯定し続けてくれている私の存在も大きいはずです。
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2軒目は地鶏屋です。
地鶏のつくねをハフハフ、いただきます。
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野菜も食べないと。 ししとう串。
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仕上げはやはり鳥鍋、最後のうどんは、お約束。
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酔いもまわり、腹も膨らみ財布も薄くなったところで、おひらきです。
一人、大宮から野田線で柏に着いた時、左手にグルグル巻きにしてある紙袋に気がつき中を覗くと、カレーパンとワサビと栓抜きがはいっていました。
どうやらコンビニで買った形跡ありです。 しかしまぁ、なんという組み合わせ。

やっと家に着き、コートをハンガーにかけていると、なにやらポケットのまわりが
濡れている。 ”はて、なんだろ?” 首を傾げながら手を突っ込むと、
潰れたタラコが2本出てきました。
きっと海老根君が明日の朝飯にでもと入れてくれたんでしょう。
 
今度、お返しに、ビビンバでも忍ばせてあげる予定です。

もう6月、そろそろの予感です。

      『貴ちゃんよぉ!! 今度というこんどはよぉ、、、、、、、、、、、   』



ちなみに大宮競輪の決勝は、やはり平原選手の1着でした。
今度、東京〜品川間を ”のぞみ” に乗って夢を叶えてあげようと
思っています。 
| 店長の休日 | 21:47 | comments(1) | -

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コメント
通りすがりの者ですが、文才の巧みさに驚嘆しました。
名文ですね。
ブログの他の文章も読ませていただきますm(__)m。
| 競輪初心者 | 2013/09/20 2:47 AM |
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