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友達の引退



私の目の奥に、焼き付いては忘れることのできないシーンがあります。

それは15年近くも過ぎた今でも全く色褪せることなく頭の中に刻み込ま
れているもので、目を閉じ、その場面を回想すると前頭葉の内側が
スクリーンとなり、すぐさまハイビジョン並みの映像が順を追って浮かび
あがってくるんです。

そのシーンとは、、

殺伐な空気に占領された金網の背後から雷鳴のように轟く毒々しい罵声や
眼前からカランカランと耳に残る均一な金属音、それらの雰囲気とは対照的な
場内を包む青く澄み渡った空の色、 ”それらすべてを一枚の絵にまとめろ” 
なんて、いきなり言われても即座に描けてしまう程に忘れられない印象的な
ひとコマなんです。


その時の私はゴール前の金網をネジ曲げるほどの力と共に大声で
何かを叫んでました。  
喉仏が飛び出す程の絶叫でした。
しかしながら今になってみるとどんな言葉を叫んでいたかははっきり覚えて
いません、、 
ただ、落車し、体半分のユニホームが破け、中のプロテクターがムキ出しに
なりながら力無くゴール線を目指していた一人の競輪選手の背中を
押してあげたい激情が生み出した声援だったというのは間違いありません。

まあ、実際には声援なんて上品なもんじゃなく、単に、はたから見れば
金髪のあんちゃんがフェンスにしがみつき、ドでかいドラ声あげてた、、、
こんなふうに言ったほうが、寸分たがわぬ表現でしょう。

それほどかつての競輪場とは品の無い場所で、”馬鹿野郎!” ”こん畜生!”
はあたり前、 負けた選手には ”ノロマ野郎!” ”やめちまえ!”
1着になった選手にさえも ”この野郎、余計なことしやがって!” 
そんなもんですから落車した選手などには、この上ない悪罵の嵐でした。
いずれにしろ当時の競輪選手は、高給と引換えに競走に勝とうが負けようが
罵られるという過酷な職業だったのです。



その日の朝、橋本龍太郎総理がアメリカ国債を売る売らないなんどの
ニュースを横目にしながら私はおろしたてのハンチングを被り、
いそいそと電車で千葉競輪場に出かけたんです。

この頃の私は仕事はそこそこ順調だったんですが、個人的に抱えてた
数々の問題が大きく肩にのしかかり、それにより鬱積したストレスに
押しつぶされるんじゃないかとの恐怖感と、その目の前の問題に対し
正面切ってぶつかっていかない自分に対する自己嫌悪、、この二つに
悩み続ける毎日が続き、ほんの数時間でも現実を忘れられる競輪は、
うってつけの逃げ道でした、、  つまりは、目の前の厄介な難題を
先送り先送りし、ギャンブルにうつつを抜かす根性無しだったんです、、

こんな時期は片道2時間もある道のりもアッというまで、スポーツ新聞の
競輪欄を舐めるほど睨み読みし、気が付くと西千葉駅でした。

この日は丸一日競輪を楽しみ、いっぱい儲けてやろうという浅はかな
思惑の他、決勝レースには友人が出走するので、1着が獲れるように
応援する大きな目的もあり、そしてその帰りに彼と一杯飲む予定も
含め、突き抜けるような青空の下、意気揚々と一人千葉競輪場に
乗り込んだんです。

ついでに、もし20万位浮いたら栄町か西船で、久しぶりにお遊び
しちゃおう、なんて邪な考えがあったのも事実です、、、、。

ところが、、、  あたりまえの展開です、、

場内に入るなりアジフライを頬張りながら最初のレース、  負け、、、
まあ、初っ端はご祝儀のようなもん、2レースはもらった、 負け、、、
さっ、て、とっ、そろそろ本気出しますか! 3レース、  負け、、、
2枠複で買い目増やしましょうかねぇ、、 4レース、  負け、、、
なぁに、そろそろ一発ガツンで逆転よぉ、5レース、  負け、、、



その後私は順調に負け続け、とうとう最終11レース、もう後はありません、、
この競走に友人は黄色の勝負服5番車で発走台に並んでいました。
スタート地点の金網に手足をへばりつかせ

        『おお〜〜い!頑張れ!一着なぁ!』

きっとバンク内の選手達には飼育ネットに張り付いてこちらに向かい
キーキー喚いているエテ公くらいにしか映ってないもんだとおもいます、、、

あと、このレースには彼の競走の障害になる捲り屋の ”秋田の煤賀(すすが)
というイヤ〜な選手もいたので、ものはついでです

『おいこら、煤賀! 余計なことしないで今日はおとなしくオトボケしとけよ!』

         目の前で軽〜く恫喝しておきました、、、

号砲と共に9車スタート、 周回中友人は好位置キープ、粛々と周回を重ね
これから始まるスピードとパワーの肉弾戦への期待からゴクリと唾を飲み
込めば心拍数も血圧もジワリとハネ上がるのがわかります、、
そしてレースが動き始めたのは第三周回、彼の機関車(前を走る同門弟子の
東京の川村)が一気に前にでました! 

『よ〜〜し!よしよしよし!! 川村!そのままブン駆けだぁぁぁああ!!!!』

最終ホーム、あと500メートル! 
川村は猛烈なスピードで空気を切り裂きます!  
9車一本棒状態で最終バック!あと250メートル!
友人は2番手最高の位置!4角(最終コーナー)までもてば千葉は
直線長いから追い込み型の彼の脚質ならチョチョイのチョイのチョチョリーナ、
直線一気で回らない寿司屋で乾杯コース!
     『神様仏様ど〜〜か、煤賀が捲くって来ませんよ〜〜に、、、』
組んだ両指を胸に押し当て力一杯深呼吸、、  すると、後ろから、
            『おら〜っ!煤賀〜ぁ!捲れ捲れ!!』
どうやら煤賀絡みの車券を買ったファンからの叫び声、瞬時に後ろを振り返り
                『うるせぇ!ジジイ!!』
ここでも恫喝、届きはしないと思うけど、そんなんで煤賀が本気出したら
どうすんだ!!

すると、、、 ありゃりゃぁぁ、届いちゃったかな?、本当に来ちゃったよ、、、、、
赤色3番車の煤賀が頭を上下させがら強烈な捲りでこっちへ向かってきます、
4コーナー手前、6番手、5番手、4番手、、、、 鬼神のような勢いです、、
川村頑張れ! もうちょっと!   あれ?、先頭走る川村は??

   うわぁ〜〜っ、 川村疲れてフニャフニャになっちゃってんじゃん!!

           そこに煤賀が、、、、  ああ万事休す、、、

とは、ならないのが競輪であり、走っている選手は皆役割があるのです。
こういう時は捲ってきた選手に対し捲られるライン(集団)の2番手が
捲られないように、オラ、オラ!と、ブロック(邪魔)をするんです。
そうやって後続ラインを前に出さず先行選手を守りゴール線までもつように
フォローすんです。 もちろんブロックできないほどのスピードが出てたり、
ブロックしてる間にイン突かれたり、横一線になってしまったり、
数多くの展開があり、必ずしもブロックが成功するとは限りません。
しかしながら先行屋は後ろが守ってくれると信じ、あえて風圧を受けてまでも
後ろを引っ張ります。
追い込み屋は自分の風よけになってくれてる先行屋の為、邪魔者を退治
します。
そうです、要は先行ラインはお互いの信頼関係で成り立ってるのです。


4コーナーを直前、直線勝負になる前あたりでスピードのった煤賀が突風
のように襲いかかってきました。それに続き、後続集団も 今まさに
川村ラインを飲み込もうと迫り来ている状態です!

   『くっ、一発張れ!』     奥歯を噛みしめながら絞り出た声でした、、

もちろん一発張らなきゃいけない義務があるのは友人本人も
重々承知なはずです。

           ”ガツン!” と一発煤賀の側頭部への頭突き!
(ルール改正前までブロックも頭突きはあたりまえでした、今はありません)

耐える煤賀、、、   の、はずが、、次の瞬間信じられない事が、、、、、

頭突きが効いてない!!  なんと煤賀は何事も無かったかのように態勢を
立て直し、力強く踏み込んでいきます、、

             ”こいつ、、 ボボブラジルかぁ?”

こうなると防波堤が決壊したも同然です。煤賀に続く一団がゴールに殺到!
外にもち出さず、皆インを突いたもんだから友人がアンコ(サンドイッチ状態)
になり、、、  まずいぞぉ、、 と、その瞬間!


            ”ガシャン!!  ザザ〜〜ッ!!”

1人落ち上に後続選手が乗り上げたんです、、何番車かは分かりませんが
宙に浮きバンクを転げる2選手の足と自転車が結び付いたまま一体となり 
”シューッ” と地を滑る、もの凄い音がしています!
他の選手は、仕事上あたりまえですが ”我、関せず” もはやゴール線へ
到達してもう背中しか見えません、、
落車なんて1日いれば1〜2回は見るもので、さほど珍しいもんでもないん
ですが今回は少し違っていました。 3人とも全く動かず完全にノビたままです、
救護員(通称、引っぱり)が駆け寄り問いかけています、
(走れますか?と3回訊いてダメなら担架、死亡事故も稀にあるんです、、)

金網懸垂状態で首を伸ばすと、紫とぉ、緑と、ありゃりゃ、黄色もだ!  
9番車、6番車、そして友人の5番車、
すると、すぐさまあちこちから情け容赦ない罵声が、、、

『この、大馬鹿野郎!!! 一生寝てろ! 役立たずがぁ!!』

      『死んじまえ!! ゴミクズ野郎!!!』

耳を覆いたくなるような不快で愚劣な野次がよくもまぁ、次々と出てくるもんだ、
いくらなんでも60キロ以上のスピードでアスファルトに叩きつけられ
傷を負ってる人間に対しこの仕打ちはないでしょうよぉ、、、、
死者にムチならぬ落車に罵声、今はもうこんな野次飛ばす奴はいませんが
以前の競輪客は醜悪極まりない下衆が多かったのは間違いない事実です。


緑の6番が担架に乗せられました。乗せられる時、腕がグニャリと
垂れ落ちた様子からみると意識はない模様、、 9番も同じく、、、  
       こりゃ、帰りに一杯どころの話じゃないぞ、、、、
いつもと違うアブノーマルな落車事故を直視していることに、だんだん喉の
奥が重苦しくなるのがわかり、ましてやその対象が、つい4,5日前にお互い
冗談飛ばしあってた友達ともなれば、ことさら気分は鈍重さを増していきます、、

もうこの時には帰りに一緒に飲もうなんて話、どうでもよくなっていました、、

担架に横たわる6番と9番が多人数で運搬カートに乗せられている様子が
見えます、、それをバンクを一周し帰路へ着く途中の煤賀や川村が心配そう
に眺めてるのも、、


        と、その時、”嘘だろ!!” って光景が! 

            

5番車の友人がバンクに両手を着き、ゆっくりと起き上がったんです!


ユニホームは破けボロボロになり、ヘルメットも中身の保護材が露出し、
右足からは血が滲んで、見ていられないほどの痛ましい姿のまま
立ち上がったんです。
私も数多くの落車事故を見ましたが、こんなにもダメージを受けの再乗は
めったにない珍しいケースです、、
「なんだよ、そんな無理に起き上がんないで寝てれば楽なのに、、」
これを見たら100人が100人この言葉が出てくるでしょう、、
ましてや決勝戦とはいえ7着じゃ賞金も大したことないんだし、、 それに
あれだけ派手にやっちゃったんじゃ、きっと肩の骨は折れているはずです、、

それなのにまた再び自転車にまたがり、フラフラになりながらもゴールへ
向かって漕ぎ始めました、、
カラン、カラン、と折れたスポークの規則正しい金属音が響くなか、顔を
しかめながらも、しっかりと前を見据えながらこちらへ近づいてきます、、、

どうしたことでしょう、?近づいくるほどに、だんだんと私の呼吸がおかしく
なっきました、心臓が暴れ、不整脈を打つような息苦しさです、、

そしてはっきりと目に収まる距離を、ゆがんだタイヤが回っています、


すると、私にはまるで喧騒に包まれた競輪場が一瞬、真っ暗になり、傷だらけ
になりながらも前へ前へと進むその競輪選手だけにスポットライトが当てられ、
戦い敗れたが、不運にも苦難にも苦痛さえにも何一つ文句を言う事無い男の
不撓の生きざまが浮かびあがっているような気がしてならなかったんです。


すぐさま沢山のものが頭を走り抜けました、、

焼き鳥片手に向かい合い、二人でビール飲みながら、私の知ったかぶりの
競輪うんちくをいつもウンウンと聞いててくれる友人です、、
毎日毎日毎日、毎ぃ日ちぃ、野村病院に入院していた時さえも練習していた
真面目な友人です、、
三人の子供をこよなく愛し、溢れるほどの愛情を注ぎ続ける子煩悩な友人です、


腕に力が入らずどんなに痛い思いをしてるんだろう、、

こんな罵声を浴びせられどんなに辛い気持ちだろう、、、

負傷したことを家族に伝える事を考えるとどれだけ心苦しいだろう、、、、


それでもゴール到達という義務(賞金をもらって家族に渡す義務)を遂行する
為に苦痛や罵声に立ち向かい、ボロボロになっても一歩でも前へ進む彼の
姿を見ていると、私にとってそれは不屈の現身であり、勇気という2文字の
生きた塊でもあり、負けじ魂そのものといってもいいものでした。

そして気がつくと叫んでたんです、、金網を握り潰すほど力を込めて
青い空へ届くほど、、、  誰よりも大きな声で叫んでいました。
車券は獲れなかったけど、どうしてあんなに興奮したんでしょう、、
たぶんあのときの彼は、私の心にどうしても足りなかった逆境に立ち向かう
勇気と行動いうものを体を張って私に示してくれたんだと信じています、、

では一体何を叫んでいたんだろう、、 
自分では彼の背中を押すような声援だったと言ってはいますが、
今になって思うと、その時期、苦難から逃げ回っていた自らに対する
叱責の言葉だったのかもしれません、、

         『畜生!畜生!畜生!、馬っ鹿野郎!!』

それは6月の空にこだました根性無しの涙声だったような気もします、、











あれから15年たった寒い冬の夜、一通のメールが届きました、、

”突然ですが、体力の限界がきました。次回の大宮をもって引退します、
         長い間応援してくれてありがとう、、”

前文での競輪選手、吉沢隆男君から届いたものでした、、
彼も私と同じ48歳、新人選手とは親子ほど年が離れ、20代あたりのイキの
いいモンとの体力勝負じゃあ、そりゃ、しんどいはずです、

ところが彼の競走得点(持ち点)を見てみると代謝(クビ)になるような点数
ではなく、班級が一つは落ちるけど、まだまだ十分残れる条件を
満たしているんです、、
ならば、そこんとこチョロッと訊いてみようかと、かすめたんですが、よくよく考え
てみると、超が付くほど真面目な男が決めたことです、塵ひとつ無い胸の内が
出した結論には違いありません、無粋なことは放っぽっといて、だったら最後の
競走になる大宮競輪の最終日に、それこそ埼玉スーパーアリーナまで届くほど
ドラ声上げての応援及び、邪魔者選手への恫喝?で送ってあげることが
私流の送辞と考え、

              行ってきました、大宮競輪へ!!


大宮競輪は柏から東武野田線で1時間ほど揺られて行くんですが
もう何回目だろう、このワクワク感、 

もう何度も吉沢君の応援にかこつけては、松戸、取手、千葉はもちろんのこと、
京王閣や平塚、今は無き花月園等、ずいぶん遠征させてもらいました。
上の記事以外は皆楽しい思い出です。
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野田市、愛宕、春日部、七里、、、 
懐かしい地名がアナウンスされるたびに、なんだか何十年ぶりに
故郷へ向かう帰郷列車に乗っているような気分でした。



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この日は通常F矯能日、、このとうりお客さんもチラホラしかいません。
以前、私の未来予想で  ”競輪は今のファンがいなくなったら滅びる”
などと書きましたが、おそらくこの予想、岩より堅い鉄板勝負、
単勝100円元返し、一本被りの日銀レース、、、  
要は、とにかく外れないとのことです、、

それだけ寂れ、地方草競馬の風情すら感じます、、
だからこそ、”頼むから無くならないでくれ、、”  と、いつも胸の中で
手を合わせているんす、、
(皆さんも競輪に足を運んでみてください、今はもう、ガラの悪い奴は全く
いません。 強いて言うなら、金網にへばりついて大声で選手を激励?
指導?、恫喝? している私が一番目ガラの悪い、
昭和の生き残りファンかもしれません、、)

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この日の4レースで3連複4260円の配当を少しだけ獲ったので、
お目当てレース前ちょっぴり浮いていい感じ、、

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大宮競輪は発走台とゴール(青い線の切れている地点)の前は係員しか
入れません。 これは罵声対策でしょうか?

特観(特別観覧席、この日はタダ)からなら、このように発走台に並んでいる
選手の表情まで観察できます。
しかしながら選手との間には厚いガラスにより隔てられ声は届きません、、
にもかかわらず、  『〇〇〜!、一気に叩いて(先行)いけよ!!』
などと、叫んでいたオチャメな爺ちゃんがいました、、
すると傍にいた同年代の爺ちゃんに、『横着しねえで、外で言ってこい、』
と諭され、しょんぼりしていた表情が印象的でした。


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第4レースが終わり、5レースはとうとう吉沢君の競輪人生最後の競走です、

競走前には必ず地乗り(選手紹介)というものがあり、この時に、各々の
選手がこの競走ではこの人達とこういう並び方で組みますよ、
との意思表示をしなければなりません。
(それを参考にして予想、車券購入の流れとなります。)

4レース終了後、色とりどりのユニフォームの中、吉沢隆男君が赤の勝負服に
身を包み、冬晴れのバンクに姿を現しました。

     『おお〜〜い! よっちゃん!!頑張れな〜〜っ!!』

ありきたりの励ましですが、この声援には ”応援に来たぞ” のアピールや、
”頭(1着)で買ったぞ” 今回は ”長い間お疲れさん”、等、色々な意味が
含まれています、、
もちろん八百長嫌疑の観点から、選手は返事をしても手を振り返しても
いけません。 (懲罰対象になってしまいます、、)

ノロノロ並びはじめると、、、 あれ、2番車の晴山、この選手、捲り追い込み型
なのに、吉沢君連れて逃げる気だ! この番組なら、4,9,2,3、の並びで
ひとつのライン(埼京ラインと言い、埼玉と東京は連携仲間なんです)に
なるはずなのに晴山と、吉沢君の2車で回ってるんです。

これは後輩の晴山が先輩を引っぱって最後の競走に華添える気です!

ほ〜っ、こりゃ期待できそうだ、、 このレースはこういう並びになります、

    予想、、           

              ← ↰   ← 5(黄)7(橙)1(白)
    ←  4(青)9(紫) 2(黒)3(赤)
             ← 6(緑)8(桃)

4番が目一杯引っぱったとこを2番3番が外へもちだし捲る、そして3番の
吉沢君が直線差してハッピーエンド!
怖いのは3番晴山がインに詰まって蓋されちゃうのと、5番小塚の捲りです。
言うまでもなく、そんなことは晴山自身も重々分かっているはずですから
粉骨砕身自力を出し切り、小塚の動きと自らの捲りのタイミングさえ誤ら
なければ東京同士(よっちゃん、晴山)のワンツーでしょう、、、

大宮来場のお客んの中で、この競走が吉沢隆男引退レースとの情報を
知っているのはきっと私だけでしょう、、    くくっ、、
        あっ、そうだ、! 海老根君に電話しよ、、
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競走5分前からこのポジションを確保、金網の隙間にレンズねじ込んで
撮りました


  『おお〜〜い、晴山!! 今日がどんな日だか分かってんだろうなぁ!
    隣の吉沢さん、今どんな気持ちだか、推し量ってみろよ〜!!』

何が何でも最後の直線まで吉沢君を連れて駆けてきてもらうため、
毎度ドラ声上げての指導です、

私の存在に気付いている吉沢君はチラチラこちらを振り返ってます、

『おい、晴山!おまえもいつかこういう日が来るんだ! 
どういう事してもらえたら 嬉しいか考えてみろ!、
2センターまで必死こいて引っぱってみろよ!』

なんともまぁ、野次にもならない自分勝手な理屈が出るわ、出るわ、、、
後から本人に聞いたことですが、この時吉沢君は隣の晴山に、
      『おい晴山、気にしないで自分の競走しろよ、』
             と、言ってたそうです、、、、、

とはいえ、29年間最後の競争を迎えた彼の気持ちを考えると、、、

私も、”これで引退、これが最後のお客さん、” となれば沢山過ぎていった
ことを思い返し、こみ上げるモノで前が滲み、見えなくなると思います。

       
『構えて!』、   ”パーン!!”  号砲一発、発走台から ゆっくりと9人が
散っていき、1周回ってくると、きれいな一本棒状態、



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とにかく黒の3番車晴山が最終4コーナーをハナ(先頭)で通過してもらうのが
吉沢君1着の大前提です。
1周目、前傾姿勢で正面を見据えペダルを漕ぐ晴山が近づいてきました、、

     『お〜〜い!! 晴山ぁ!! わかってんだろうなぁ!!』

フェンス越しに先輩が後輩に、上司が部下に命令事の確認をしている
ようなもんと想像してください、、  

走っている晴山本人にしてみれば 

『なんだよなんだよ、、 あの吉沢さんの友達はよぅ、、んな事、俺だっで
分かってらぁ、、ったくぅ、、 静かに見てろよぉ、、、、』

    こんなふうに呟きながらの周回だっただろう予想します、、

2周目、選手達は、それぞれの位置を固め静かに周回を重ね、3周目、
そろそろ動きが出てきました、、、
           ”くっ、、小塚、、、 おとなしくしてろよ、、”
小塚と晴山でしたら晴山の方が格上で、オッズを見ても晴山から売れて
おり、期待も高いようです、、、 しかし小塚の援軍は2人、こちらは1人、、、

すると、、、
スルスルっと青い4番の鈴木が先行しました、、 埼京ラインの仲間です!
埼玉の2人が風よけになれば3番手の晴山は、小塚が来る前にその2人だけ
捲ればいいわけで、もし先に後方から小塚が捲って来たとしても、横に並ぶ前に
発進して邪魔してやればいいわけで、こうなりゃ、晴山絶好の展開!!

よぉ〜おおし! 晴山3番手にはまれ! 鈴木駆けろ!! 小塚トボケろ!!


        そして、よっちゃん! 突き抜けろ!!!!!!



       さて、結果は、、、、、           こちら





競走が終わり鈴木も小塚も渡辺も、荒い息をたてながら、ゆっくり
流しています。
晴山と吉沢君が並走し何か話している様子が遠目にわかります。。
そして吉沢君にとって競輪選手として最後の瞬間が近づいてきました
終わりを告げる5レースの着順決定放送のアナウンスが始まり
29年間の想いが染み込んだ職場を去る時がきたようです、、

有名選手ならレース後、引退セレモニーがあるのですが、彼の場合
もちろんファンへの挨拶も花束贈呈もありません、、 そっと去ってゆく
だけです、、でも考えてみれば、彼に華々しい活躍はありませんでしたが
目立たず、出しゃばらず、忍耐の鎧を身にまとい、人知れず黙々と練習を
積みあげ、この齢(48歳)まで選手としてやってこれた生真面目さは
誰よりも私が評価していますし、玄人ファンの方達も全盛期の彼の
マーク屋としての仕事っぷりには唸るものすらあったと思います、、








そして、、真っ青に彩られた冬晴れの空の下、9人がゆっくりとこちらへ
向かってきました。
名残を惜しんでいるのか、瞼に焼き付けているのか、赤いユニホームの彼は
皆より少し離れ最後尾です、、、

『よっちゃ〜〜ん、今日までありがと! 長い間おつかれさん!!』

仕事柄、彼にとってあまり好ましくない競輪野郎の贈る言葉は、またも、
ありきたりのもんでした、、、

すると、3秒後、周りのオヤジ達もビックリするような事が起きたんです!

        『松ちゃ〜〜ん!! 遠いとこありがとう!!』

右の手のひらをこちらへ高くあげ、なんとバンクの中から、イチ観客の私に対し
名指しでお礼してきたのです、、

これにはたまげました、、、

    『オイオイ、いいのかよ、、 吉沢、あいつ懲戒モンだぞ、、、、』

『違うよぉ、あのあんちゃん友達だろ、、  吉沢今日が最後なんだよ、、』

私も、周りのオヤジ達も長い間競輪場通っていますが、金網越しに選手から
直に声かけられるのって、見たことも聞いたこともありません、、、、

すると、ゆっくりゴール前を流している彼に救護員達でしょうか、整列した
彼ら達からパチパチと大きな拍手が湧いています、
少なくとも彼らは知っているんでしょう、静かに去ってゆく選手の寂しさが、
そしてその心の隙間をほんの少しでも埋めてやれるものが精一杯の拍手
だということも、

寒風にあおられることなく敢闘門(選手の出入り口)に戻った吉沢君、
自転車から降り、競走が終わり誰もいない静かな観客スタンドに向かい
深々一礼して門の奥へと消えていきました、、

最後を見届け、気の抜けた心中に浮かぶ思いは、、

もう、ドラ声上げて声援することもありません、
邪魔者選手を恫喝することもありません、
(唸り飛ばした選手の方達、すいませんでした、、、)
楽しかった競輪をありがとう、、
最後に一言、、






季節は違えども、奇しくもあの日と同じ青い空、、、

あの時の光景と罵声はひとしお身にしみました。眼前の痛ましい姿の
競輪選手吉沢隆男は照れ屋の私にとって、決して口には出せぬ「強さ」
そのものだったような気がします。

そしてこの日、晴れ晴れしい引退の日に実は金網越しに伝えたかったことが
あります、

それは、15年前の千葉競輪での一件で叫んだ大声と一緒に体の中に
長い間腹の中に沈殿していた臆病の塊も一気に吐き出せたということです。
で、そのかわりに吸い込んだ罵声まみれの最悪の空気には実は勇気を合成
する成分が含まれていたということも伝えたかったんです、
なぜならあの日の帰るみちみち、君が立ち上がり進んだあの光景を
思い返すと、体の内に忘れかけていた自覚の念と負けじ魂がフツフツと
湧いてきたんです、、
まるで楠木正成が腹の中に住み着いたような感覚でした。
以来、自分で到底無理だと決めつけてた難題も両腕で抱え上げ、
最善の結果を果たすまで、放り投げずに付き合える辛抱強さを持ちあわす事が
できました。


そしてあの日から私の中で、
辛く苦しい時に踏み出す一歩が勇気という言葉の異名であるということが
心の奥底から分かったことも付け加えておきます。
IMG_1085.JPG



なんだか体が痒くなるようなガラにもないこと書いちゃいましたが、
そうめったにあるもんじゃないんでお許しを、、
世の奥様方や堅物の殿方達が蛇蝎の如く嫌う競輪で人生がプラスに向かった
珍しい例もあるもんで、せっかくなんで書かせてもらいました。

まあ競輪にしろコスプレにしろ冬山登山にしろ、何事も凝り固まった個人の
先入観が、内発的エネルギー覚醒のきっかけになりうるものを阻んでしまう
こともあるんです。

言い換えば、良きにつけ悪しにつけ人が熱を上げるもの何事でもその中には
生命力を活性化させる起爆剤があるんですよ、、




    (注、今回の記事は別に競輪を推奨するものではありません)











このままいても、どうせヤラれるんで、せっかく5000円ほど浮いてるんで
明るいうちからビールでも飲みますか!







じゃ、オケラじゃないけど、オケラバス(通称)で、、
IMG_1086.JPG




いい天気だこと、、
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さてと、ランチやってる蕎麦屋でもないかなぁ、、、、
IMG_1088.JPG 






すぐさま発見!
吉沢君にメールを打ちながらググッと流し込み、『プゥ〜ハ〜!!』 と
至福の奇声を上げ、一人飲み会開始、
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蕎麦セット(780円) モリ1.5人前に、ミニ海鮮丼にヤッコ、、
随分とコストパフォーマンス高いランチだこと、、
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2軒目、、、   わかっちゃいるけど、、  止められない、止まらない、、、

大好きな昼酒ですが、どうもこれには内発的エネルギー覚醒の鍵は
無さそうです、
IMG_1096.JPG

競輪、昼酒、ハシゴ酒、、、
なんだか、ダメ人間のゴールデンコース、、

このあと樽酒が一杯350円だというので飲んだら旨いのなんのって!!
3杯いってしまいました、、
もちろん足元フラフラ、、
蕎麦屋と焼き鳥屋、2軒で浮いたお金5000円キッチリ使って20:00帰宅、、


家に着くなり家人が開口一番、

『よっちゃん、どうだった?』  

家内も吉沢君はよく知っています。朝出かける時に引退の旨は話して
おいたんです。 だから最後の競走、少しは気になるんでしょうか、それとも
私が万が一大儲かりしてたら、コーチのバックでも買ってもらえるかな、
などの期待を含めての問いかけだったんでしょうか?

『ダメだったよ、7着だったよ、、、』  

”あ、そうだったんだぁ、残念だったね” なんて返事がかえってくると思ったら

『ふ〜ん、なに? よっちゃんの頭で買ったの?』

何あたりまえのこと、訊いてんのかな、、 と、上着をハンガーにかけながら

『うん、最後の競走だもん、1着で華添えて感動の引退だろ、普通はよぉ、、』

              すると

『ところでさぁ、なんで、よっちゃん引退するか知ってる?』

          『えっ? なにそれ?』

この引退に隠された大きな秘密でも知ってるのかと思いきや、

『なにそれって、そんなの1着取れなくなったからでしょ、1着取れるんだったら
引退なんかするわけないでしょうよおぅ、、、  』

ふんふん、なるほど、、いわれてみれば、、、  しかし!、切り返した文句は、、

『馬鹿モン! 引退の花道は1着なの!!!』

『じゃあ、なんで7着なのよ! ええ?!!』

『いや、まぁ、そ、そのぉ、、  なんでだ??』

なんて答えていいのか口ごもった刹那、

『引退する人にお金は必要だけど、点数(競走得点)は必要ないでしょう、
だったら残る若い子に高い点数取らせてあげるのが先輩からの置き土産
じゃない? ましてや、1着取れる力もなくなってきてるんだし、、違う??』

んんん〜〜っ、  なるほどぉ、、、  感心していると、続けざまに、

『そう考えれて1車外せば絞れるでしょう、それによっちゃんの性格からして
立つ鳥後を濁さず、じゃないけど最後に変な競りなんかするわけないんだから
捲くってこられたって、張らないよぉ、 そんなことして万が一失格なんか
もらったらそれこそ引退にケチがつくでしょうよぅ、
前(先行屋)だって捲くりに回ってよっちゃん切れちゃったら(千切れたら)
悪いから駆ける(先行する)に決まってるし、
かからない限り(スピードがのらない限り)、頭はまず無いよ、、
だったら別線(他のライン)買ったおうがよかったんじゃない?』


        『、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。』


す、凄い!まさしくそのとうりです、いや、まさしくそのとうりでした!
おまえ競走見てたの? もし見てないで今のこと言ってんだったら
競輪の神様と認定し拝ませていただきます!!


やはりギャンブルに関しては、男はロマンと感動を追い続け、女は
現実と現金を見失しなわない頭の構造になってるんだと、つくづく感じた
掛け合いでした、、、、。


                当分競輪は、やめよ、、、






| 店長の日本一ためにならない話 | 17:35 | comments(2) | -

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| - | 17:35 | - | -
コメント
奥様・・・すごすぎ!!

読みながら麦酒を軽く画面に噴出してしまいました><
| おばた | 2012/02/01 11:52 PM |
おばた様

コメントありがとうございます。
ダメじゃないですかぁ〜〜
麦酒もったいない(笑)
でも、残念ながら私は当てるよりも大穴を狙うのが好きなので
当てることは出来ないんです。
店長は考えすぎて当てることができないんです。
残念夫婦ですね((-_-;)
| 富士理容館 | 2012/02/06 6:19 PM |
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